【前編】チェロ四重奏多重録音宅録用マイクの買い替えを検討
- megumatsu009

- 11月3日
- 読了時間: 13分

注意:録音に興味のない方は完全に時間の無駄なので読まないでください!
今回は録音係の備忘録ブログです。
(ちなみにこのブログはチェリスト松本晋本人でなく、ブログ係こと松本恵が主に執筆しておりますが、今回は別人の録音係が担当します)
私は何か大きい買い物をする時、商品を選ぶ時、その購入にいたった経緯を日記のように書いておく習性があります(なんか将来その選択に後悔した未来の自分への言い訳みたいな、でも役に立ったことは一度もない)。
今回はそれを初公開してみます。
ちなみにブログ係には「長い上にわかりづらい上にオチが弱い」と掲載見送りを強く勧められました(いやいや、ブログのネタ足りん言うから協力しようとしたんやないか!)。
よって、
・宅録を始めようとする方以外はパスしてください。
・宅録を始めようとする方は結果だけお伝えします、Audio-Technica AT4040を買うことにしました。
こちらに素晴らしい解説動画がありますのでこれだけ見ておけばOKです。
それでは、時間の無駄スタート!
① 録音用マイクを買い替えたい!
チェロ四重奏多重録音の宅録で使っていたAKGのLyra-Y3というUSBマイク。
多重録音を始めてみようということで最初に購入したマイクがこれです。

1万円くらいでお手頃価格&マイクとPCまたはiPhoneを直接繋ぐだけですぐに録音可能!というお手軽感が決め手でした(あと見た目もシンプルでかわいい)。
いざ使ってみるとMacBookやiPhoneのマイクで録音するよりは格段に音質が上がり、当初は喜んでいたものです。十分十分!息抜きの趣味みたいなものだしこれくらいで続けていこうか、と。
しかし、様々な方のチェロ録音チャンネルを見るうちに、やはり「うちもこれくらい良い音質にしたい!」と欲が出てきてしまいました。
ファッションにわかガジェット好きの血が騒ぐ!(ただし機械に劇弱)
② マイクは大きく2種類!ダイナミックとコンデンサー
次に手を出すとしたら低価格帯のコンデンサーマイクです。
上記のLyra-Y3というUSBマイクもコンデンサーマイクの仲間ですが、これは本来コンデンサーマイクに別途必要な諸々の装置が内蔵された簡易タイプみたいなものです。オールインワン!
ちなみにマイクはまず、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクに大別されます。マイク素人の我々が今までの人生で見てきたのは大体ダイナミックマイクだと思います。
小学校の朝礼で放送係が準備するマイクも、カラオケで回ってくるマイクもダイナミックマイクです。
AIによると以下の違いがあります。
▼今回は買わないやつ | ▼今回買いたいやつ | ▼今持ってるやつ | |
特徴項目 | ダイナミックマイク (アナログマイク) | コンデンサーマイク (アナログマイク) | USBマイク (デジタルマイク) |
動作原理 | コイルと磁石の振動で音を電気信号に変換【タフ】 | 静電容量の変化で音を電気信号に変換【超繊細】 | コンデンサー型が多い【繊細】 |
収音・出力形式 | アナログ収音 →アナログ出力 | アナログ収音 →アナログ出力 | アナログ収音 →デジタル出力 |
接続方式 | XLRまたは標準ジャック | XLR | USB |
接続機器(経由装置) | アンプ、ミキサー、オーディオインターフェースなど | オーディオインターフェース、ミキサーなど | なし(直接接続) |
最終出力先 | スピーカー(拡声)、PC(録音には工夫が必要) | スピーカー(拡声)、PC(高音質録音・編集) | PC、スマホ、タブレット(直接録音・再生) |
感度・音質 | 低め (環境音を拾いにくい) | 高め (繊細な音も拾える) | 高め(PCやスマホで手軽に録音) |
電源の必要性 | 不要 | 必要(ファンタム電源) | USB給電でOK |
価格帯 | 比較的安価(数千円~) | 高価(数万円~数十万円) | 安価(数千円~) |
主な用途・特徴 | ライブ演奏、屋外収録、スピーチなど | スタジオ録音、楽器、ボーカル、ナレーションなど | 宅録、配信、ポッドキャストなど |
これだけ見ると「ダイナミックマイクってそんなにいいところないじゃん」と思うかもしれませんが、実はライブ現場では圧倒的な強みを持っています。 周囲の音に左右されず、メインのボーカルや楽器の音をしっかり前に出すためには、ダイナミックマイクの指向性と耐音圧性が欠かせないのです(ってAIが言ってた)。
比較的安価とはありますが、プロ使用のダイナミックマイクはやはり十万円以上したりします。
一方、繊細な音の録音にはコンデンサーマイク。今回買うのはこっち。
ダイナミックマイクと違い、目の前の楽器からストレートに発される音だけでなく、スタジオ内の反響音や僅かな倍音まで拾うので音の深みが違う!…そうです。
コンデンサーマイクは高いものだと20万円〜70万円とかそれ以上します。湿度にも弱いらしく管理に気を遣うらしいので(自信ない!)、安くてそこそこ使えるラインを狙っていきます。
③ コンデンサーマイクを買うぞ!・・・ファンタム電源ってなんだ!
コンデンサーマイクの購入ページを見ると、親切なサイトでは「使用するには別途ファンタム電源が必要です」と記載があったりします。
そう、上の比較表にもある通り本格的なコンデンサーマイクは別途電源装置が必要なのです。
ファンタム電源自体は数千円で売っています。が、いきなりそれをポチる前に調べることはまだあります。
④ 録音するにはAD(アナログ・デジタル)変換機能が必要?
実は、コンデンサーマイクとファンタム電源だけでは録音はできません。
録音するためには、マイクとPCの間に「AD変換機能(アナログ→デジタル変換)」を持つ機器を挟む必要があります。
AD変換とは、マイクで収音したアナログ信号(電圧の波)を、PCで扱えるデジタル信号に変換する処理のことです。 この変換がなければ、PCは音声信号を認識・録音することができません。
よければ比較表を見てみてください。
★USBマイクは「アナログ収音 → デジタル出力」
→ マイク内部にAD変換機能が内蔵されており、PCに直接接続して録音可能です。
★ダイナミックマイク/コンデンサーマイクは「アナログ収音 → アナログ出力」
→ 本格的なマイクはすべてアナログ出力なので、録音には外部のAD変換機器(オーディオインターフェースなど)が必要です。
もし、マイクで収音した音をそのままアンプやスピーカーで拡声するだけなら、AD変換は不要です。
録音や音声編集をしない場合はアナログ信号のまま音を出すだけです。
一方、今回は録音が目的なので、ダイナミックマイクにしてもコンデンサーマイクにしても、PCに音声を送るにはAD変換が必要です。
そのため、その機能も持つなんらかの機材を必ず挟む必要があります。
(そして何度も言いますがLyra-Y3はUSBマイクというハイブリッドマイクなのでAD変換機能が内蔵されていてPCに直接接続ができるわけです、ただし音質には限界がある!)。
⑤ オーディオインターフェースとUSBミキサー
調べると、AD変換機能を持つ主な機器には以下2つがあるようです。
・ファンタム電源付きのオーディオインターフェース
or
・USB対応&ファンタム電源付きミキサー
いずれもファンタム電源付きのモデルがたくさん販売されています。
これがあればファンタム電源を別で買わなくていいんですね。
では、オーディオインターフェースとミキサー、どちらを買えばいいのでしょう。
AIに比較してもらいました
比較項目 | オーディオインターフェース | USBミキサー |
音質 | ◎ 録音に特化・高音質 | ○ 調整しやすいが録音向きではない |
録音方式 | 個別トラック録音 | ステレオミックス録音 |
編集の自由度 | 高い(後から細かく調整可能) | 低め(まとめて録音される) |
操作性 | PC中心(ソフトで調整) | 手元で直感的に操作可能 |
ファンタム電源 | あり(モデルによる) | あり(モデルによる) |
これはもうオーディオインターフェース一択ですね。
なんとなく名称のイメージからして複数音源を撮る場合は絶対ミキサーが必要なのかな(ミックスだから←アホ)、ならミキサーのが汎用性あるかな(←アホ)とか思っていたんですが、これは大きな勘違いでした。
例えばマイクを4つ用意して弦楽四重奏を録音する場合においても、マイク入力が4つ以上ある(マイクを4本接続できる)オーディオインターフェースを選べばいいわけです。
じゃあミキサーの用途は何かっていうと、主にはイベントや配信用です。複数の音をその場ですぐにリアルタイムで調整するためのものだそうです。なるほど。
つまり、複数マイクを使用して複数音源を生配信する場合はミキサーが必要ってことなんですね。
生配信するのでなければ買うのはオーディオインターフェースです。
つまり、今回私が買うのべきものは
・コンデンサーマイクマイク
・オーディオインターフェース(ファンタム電源付)
・XLRケーブル(マイクケーブル)
です!
XLRケーブルはマイクとオーディオインターフェースの接続用。
マイクとは別売り(大抵)なので別途購入します。ちなみにオーディオインターフェースとMacBookの接続ケーブルはオーディオインターフェースに付属します(大抵)。
⑥ いざ、コンデンサーマイク選び
ということで、ようやく全体像がなんとなくわかったところでマイク選び。
まず気になったのはとあるピアニストの方のブログで紹介されていたこちら。
オーディオテクニカ audio-technicaコンデンサー型マイクロフォン PRO35
安いです!定価より値下がりしていて1.5万円でお釣りがきます!(2025.10現在)
一応、AIに現在使っているLyra-Y3との比較をしてもらいました。
AIに耳があるわけではないので本当かわかりませんが少なくとも機能的に上位互換であることは間違いなさそう(大した比較表ではないので読み飛ばして下さい)。
項目 | PRO35 購入検討中のやつ | Lyra-Y3 今もってるやつ |
マイクタイプ | 楽器用小型コンデンサーマイク(XLR接続) | USBコンデンサーマイク (AD変換内蔵) |
周波数特性 | 広くて自然(楽器収音に最適) | 20Hz~20kHzと広いが、USB変換で若干劣化あり |
音質傾向 | 原音に忠実、繊細なニュアンスも拾える | クリアで聴きやすいが、プロ用にはやや物足りない |
AD変換 | 外部機器で高品質に処理可能 | 内蔵AD変換(192kHz/24bit)だが限界あり |
プロ用途の実績 | ライブ・スタジオで広く使用 | 主に宅録・配信向け |
もう少し他の選択肢も見てみましょう。
これもAIに候補を上げてもらいました(全て単一指向性)。
(ちなみにこうやってAIに商品候補を上げさせるのはあまり適当ではない回答が返ってくることが多いです。これもまた大した比較表ではないので読み飛ばして下さい。)
マイク名 | 音質傾向 | 価格帯(概算) | プロ用途の実績 |
PRO35 クリップ型 | 原音に忠実、繊細なニュアンスも拾える、広くて自然(楽器収音に最適) | ¥25,000~¥30,000 | ライブ・スタジオで広く使用 |
AT2020 スタンド型 | 自然でバランスの良い音、20Hz~20kHz(バランス良好) | ¥10,000~¥12,000 | 宅録・ナレーション・楽器録音に定番 |
BEHRINGER B-1 スタンド型 | 明るく抜けの良い音。低音はやや軽め、20Hz~20kHz(高音がやや強め) | ¥13,000~¥15,000 | 宅録・コスパ重視の録音に人気 |
RODE NT1-A スタンド型 | クリアで繊細。空気感まで捉える、20Hz~20kHz(非常に低ノイズ・繊細) | ¥30,000~¥35,000 | スタジオ録音の定番。プロにも人気 |
DPA 4099 for Cello クリップ型 | 楽器の響きと倍音を忠実に再現、楽器専用設計でチェロの音域に最適化 | ¥60,000~¥80,000 | プロのクラシック演奏家に広く使用 |
うーん、これは迷う。音質向上だけ考えたらDPA 4099 for Celloなんでしょうね。
8万円かー。今回は見送ります。
⑦ クリップ型マイクとスタンド型マイクの特性
さてここで私はコンデンサーマイクのラインナップにクリップ型とスタンド型があることに気づきます。
単に形が違うから使い勝手の好みで選ぶものだと思っていたらどうやら違うようです。
商品説明を見るとどうやらクリップ型は屋外ライブにも対応できるような比較的タフなつくりになっているものが多いようで、屋内録音用としてはクリップ型よりスタンド型の方が適しているようだということを、ここまできて初めて知りました。
検討中のPRO35はクリップ型です(つまり録音用ではない!?)。
あらためて調べるとクリップ型は楽器に直接取り付けるタイプなので、環境音を拾いにくい反面、空間の響きはあまり収音されないようです
=つまり、弦楽器の録音にはあんまり向いてない(なんですって!)。
ただ、これについては自分なりの考えがありました。
まず録音は自宅で行うので、冷蔵庫やウォーターサーバーの稼働音、窓の外の車の音など、周囲の雑音はできるだけ拾いたくありません。 そのため、空間の響きが多少犠牲になっても、環境音を抑えられるメリットの方が大きいのでは!?
さらに、空間の響きについては、GarageBandやAdobe Audition(音編集ソフト)のリバーブ機能(エコーみたいに響かせるやつ)で後から補えるのではないか!?と思っていたのです。
(いろいろ理屈をこねているが本音は「部屋狭いし準備と片付け大変だから場所をとるスタンド型は避けたい!」わけです)
しかし、AIに「忖度なしでこの考えについてどうか」聞いてみたところ以下の意見が返ってきました。
・空間の響きは“後から足せばいい”という考え方には限界がある。リバーブは人工的な空間感であり、実際の部屋の響きや楽器の立体感とは違う。特にチェロのような倍音豊かな楽器では、空間の響きが音楽性に直結する。
・PRO35は近接収音に特化しているため、音が“詰まって”聞こえることがある。音の輪郭は明瞭でも、空気感や奥行きが失われやすい。
・“環境音を拾いたくない”という理由だけでマイクを選ぶと、録音の本質を見失う可能性がある。それなら、部屋の防音・吸音対策や録音時間の工夫も並行して考えるべき。
・あなたの考えは「宅録の現実を踏まえた、実用的な割り切り」としてはよい。ただし、音質を本気で追求するなら、空間の響きを“捨てる”のではなく“活かす”方向で考えるべき。PRO35は目的に合っているが、音楽的な深みを求めるなら、スタンド型のラージダイアフラムマイクの方が有利。
はい、忖度なしの御意見ありがとうございます!
(わかってるってば、部屋狭いからワンチャン小さいのでもいけるならそれでもいいかなって思っただけじゃん)
⑧ スタンド型マイクを買うぞ!
そういうわけでスタンド型の最安価AT2020を購入することにします。
こちらにバイオリンのマイク収音レビューがありました
うん、音色クリアでいいですね!期待です。
さあいざ購入!というところで、念の為最後に同じメーカーの別モデルも一応比較しようと検索をかけたところ、なんとYouTubeのチェロ宅録解説の動画でこれの上位互換が紹介されていました。
なんてこった!!!素晴らしくわかりやすい解説!!!付属品もしっかり紹介されている!!!Audio-Technica AT4040は4万円弱ですが、まあギリギリ予算内です。もうこれにしちゃお。
そうです。はじめからこの方に習ってそっくりそのまま買い揃えればよかったのです。
一から勉強しようと無駄に張り切ってしまい、大変な回り道をしました。
でもまあ色々収音の基本を学べたのでよしとするか。
知恵袋では「宅録ならAT4040はオーバースペック、1.5万円くらいのAT2035で充分」という意見も
悩ましい。しかしやはり調べていくとボーカルやアコギならまだしも、倍音の多いチェロとなるとAT4040がいいようです。
楽天ではクッションマウント、スタンド、カバー等がついて49,500円(2025.9現在)これはマイクケーブルもついてるセットです。

ちょっと気になったのが小さめの卓上スタンド。
これなら場所とらなそう。
と思って調べたけどよくわからないので、今回はAT4040セットの純正アーム式スタンドにしました。
AT4040は下位互換製品に比べて重量があるらしく、マイクを支えるクッションマウントを含めると重いので純正スタンドがいいらしい(この辺りリサーチに飽きてちょっと適当)。

オーディオインターフェースはこちらの知恵袋回答が参考になりました。
MOTU M2、これも4万円弱!!お高い!!
でもマイクと同じくらい音質に関係するアイテムなんですね。あらためて、深い。
ちなみにこの質問者さんがお持ちの「入門者用オーディオインターフェース」でも1.6万円です。
最低でも4万円かー。
マイク(XLR)ケーブルも買いました。
1.5m 2600円
しめて8万円超のお買い物、果たして音質はいかに…次回、録音編
お詫び:大変な機会音痴の備忘録ブログなので、レポート内容には間違いや不適当な表現があるかもしれません。すみません。






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